寒い朝

 あんまり面白いこともない。

 夢に○○が出てきた。○○は十代の頃、学習塾や部活で、よく一緒に話をしたりしていた同学年の男だったが、大学を出て就職した年に急死した。

 夢のなかでは、私も○○もまだ学生(高校生か?)であり、自転車で帰宅中であるが、いかにも夢のなからしい不条理な偶然の災厄に、私ばかりが見舞われ、先に進まない。○○は女学生(誰だ?)と会話をしながら時間をつぶして(○○の葬式に来ていた女性か)私を待っている。

 自転車の前籠から前輪にかけて毛糸が絡まったところで「悪いから先に行ってくれ」というと、○○は「もうこれだけ遅れているんだから、別に、このまま、朝までつきあってもいい」という内容のことをいう。「こいつ、一晩中、こんなことが続くと思っているのか」と私はいらいらしていたが、考えてみれば、それは久しぶりに集まって飲んだ時、一度だけ、彼の大学時代の八王子の下宿に泊めてもらい、もう一人の男と三人で下らない話を一晩したことが、反映していたのかもしれない。

 そう思うと「悪かったかなー」という気がする。

 目を覚まして右足をふとんのなかから出すと、寒かった。