過去のようなものにすがりつく人々の前で

 本屋に行ったら「寂聴」というタイトルの雑誌が平積みにされていた。表紙は、微笑みながら佇む、瀬戸内寂聴の姿。嘘のようだが本当の話だ。
 その横で「サライ」という雑誌が落語の特集をしていて、表紙には古今亭志ん生の高座姿が掲載されている。
 瀬戸内寂聴志ん生とを見比べてしみじみと「似ているなあ」という感慨に浸る。
 一度も読んだことのない「現代」の最終号が、その隣に、横たわっていた。