雪の日にお坊さんが

「こないだの雪の日にお坊さんが池に落ちて」
「あら」
「死んでしまった、というニュースを聞きました」
「気の毒に」
「どこまで地面でどこまで池か、雪でわからなくなっちゃった」
「お坊さんが死んじゃったらどうするのかね」
「どうするって?」
「お葬式をどうやるのか・・・」
「いや・・・普通にやるでしょう」
「お坊さんを呼んで来て?」
「ええ」
「お坊さんが、お坊さんを、弔う?」
「そうでしょう」
「少し、不思議、な気がする」
「そう?」
「S、F、だ」
「はあ」
「はあ?」
「まあ、お坊さんもたいへんだ」
「たいへんだ、という話と、そうでないウハウハだゾ〜という話と、お坊さんについては両方聞いたことありますが、ドウなんでしょうね」
「まあ、宗派によって、地域によって」
「違うと・・・」
「いいスポンサーというかお客さんが付いてるかどうかでも」
「お客さん?」
「檀家?、だっけ?」
「ああ」
「アレって、普段からお布施とかしている家にはもう、墓をピカピカに掃除したり供えた花をしおれさせないようにしたり」
「サービスがいいんだ」
「これはもうホントに」
「じゃあ、力のない貧乏人には」
「それは、まあ」
「墓石にスプレーで落書きするとか」
「そんな積極的には・・・」
「『死ね!』って書く」
「死んでる死んでる」
「じゃあ『もっと、死ね!』って書く」
「書きません」