心を入れ替えるつもりで
刑務所の扉が開き、刑期を終えた男が、看守に付き添われて現れる。
看守、男に向かって
「吉田さん、これからは」
年老いた看守は、男の肩に手を置いて、言葉を継ぐ。
「山田を入れ替えたつもりで、頑張って下さい」
男は、一瞬、困ったような顔をしてすぐに走り出す。
猛烈に走る男。
住宅地。家々の表札。木村、鈴木、田中・・・
頭を振り、「山田山田・・・」とつぶやきながら走る男。
佐藤、野村、山田・・・
「すみません、すみません、ちょっとすみません」
『山田』の家の戸をどんどん叩く男。
なかから主人が出てくる。すばやく主人を押しのけ、家の中に入り、鍵を閉める男。
「ちょっとちょっと」
家の中から女性、子供の叫び声。
「なー!」
山田さん絶叫。
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2008/07/07 ちょっと修正。