その1

 あんなのもあったこんなのもあったとギャグの話をしてみたい。
 とはいえ、ミステリーのトリックと同様「他言は無用」なギャグも多く、また、ギャグを説明されても笑えない、というのもよく知られた事実なので、なるべくそれらの問題を回避しつつ・・・
 「百ギャグ賞翫」と題しましたが、百まで続くかわかりません。
 
 また、ギャグの紹介も、私の主観に基づいた原典(ギャグ)の文章化になってしまい、結果、原典の妙味を著しく改変してしまっている危険性が大きいこともあらかじめお断りしておきます。


 学校のどこかに爆弾を仕掛けたぞという犯行声明文が届く。どこだ?どうする、と言ってるところへ「ドカーン」ギャー・・・しかし、ちょうどその時、窓の外では土管売りが土管を売っていた。
「土管は要らんかねー」
土管売りを見詰める学生達。
買ってくれるのかなと、窓から顔を出した学生達を見上げ、肩に土管を担いだまま路上に佇む土管売り。 

とり・みきるんるんカンパニー』(週間少年チャンピオン連載、1980〜1982)所収。(先年夏頃帰省時に読み返した記憶では、タイトルは「ドカ〜〜ン」になり、それだと、少年チャンピオンコミックス第2巻第19話になるようです。
 以下のサイトを参照致しました。
■『るんるんカンパニー』初出リスト
http://www.tama.or.jp/~hos/mickybird/runkan.html
http://www.tama.or.jp/~hos/
手元に単行本が無い為、確認出来次第、追記します)

 
 なぜだか記憶に残っていて、折につけ思い出すことも多い。
 思い出す度に、近くに人が居れば話して聞かせた事もあったが、意外と面白い(私は)。映画や演劇などの様式では表現し難いので、うっかりマンガ表現特有の・・・と分析されやすいギャグのような気がするが、「口演」ならイケルのではないか。
 <マンガ表現特有>の方向で擬音がらみのとり・みき先生のギャグとして、『ダイホンヤ』から一つ、『猫田一金五郎の冒険』から一つ、いま思い出しているところだが、これは実際にお読み頂いた方がということで(あの、冒頭のヘリコプターのと、師匠と弟子が・・・のやつです)

 あと、この土管売りの男、『るんるんカンパニー』におけるお馴染みのキャラクターが演じているわけでは無く、かといって、とり・みきマンガによく出てくる脇役キャラクターが演じているわけでもない。その後もあまりとり・みきマンガで見ない、普通の通行人然とした男である。この「土管売り」の造形の無名人的性格が、「誰かさんが戯れに土管売りに扮して」という印象を遠ざけて、そのかわりに「土管売りが、居た」という<土管売りの実在性>を前面に押し出し、結果、馬鹿馬鹿しい味を強く滲ませるのに一役買ったのでは無いか、と考えている。
 記憶では(手元に原典が無いので記憶で書いていますが)彼は、鳥打帽を被った初老の男、であった。
 吉田戦車だったら唐沢なをきだったら、いや、貴方だったらどんな土管売りにしますか?