海の輪郭線 〜『崖の上のポニョ』
土曜日に『崖の上のポニョ』を観た。
『ポニョ』すごい。
宇野常寛先生の口真似で「母性のディストピア」というのも(ゼロ年代の想像力は早川書房から7月24日に発売)『ポニョ』のあふれる(輪郭線のある)水の前では空しいだけだ。
人間が社会を運営し、社会が作品の価値を設ける、それは当然であるが、そこから逆算された人間性は幼児には薄い。なのに、ごく初期の段階には、人間誰しも幼児なのである。
そこを老年にさしかかった監督が(老年にさしかかったからこその角度で)衝いた。
幼虫の「好き」は、蝶の「好き」とは違う。かといって空を舞い花にとまる事だけが、その虫の全てを表現しているわけではない。
得体の知れないもののモダンでリアルな動き、それは絶妙、でも恋愛は人間は・・・と思っていたら、逆手にとってこう来たか、という・・・
それにしても、水の中のでっかいお母さんが、美輪明宏の声でしゃべらなくてよかった。
もう一度劇場でみたい。